辰巳ヒロシは、貸本漫画家として活躍しながら、「劇画」という漫画の表現技法を確立した人で、劇画のゴッドファーザーと言われています。劇画とは普通の漫画よりもシリアスな作風に書いたものです。有名な漫画では「ゴルゴ13」などがあります。
辰巳ヨシヒロは、自身の漫画だけではなく、漫画の作画も担当していました。それがギャンブル(麻雀)を題材にしたもので懸賞狼とザ・ギャンブラーです。
懸賞狼は、名うてのギャンブラーだった主人公が博打家業から足を洗い、農業をして静かに暮らそうとしていました。しかし、ヤクザの首領に妻を殺されていまい、その復讐のため2億の現金を稼ぎつつ旅打ちを続ける、という物語です。
ザ・ギャンブラーは終戦直後の昭和20年代前半の頃に生まれた「倉丁也」というギャンブラーの話です。ギャンブルジャンキーですが、勝負強さも持っていて、あらゆるトラブルを回避しながらギャンブルを続けていく物語です。懸賞狼、ザ・ギャンブラーともに、社会の底辺に位置する人々の人生の悲哀を味わい深く描いています。
辰巳ヨシヒロの作品は、英語だけではなく、フランス語やスペイン語やインドネシア語など数カ国語に翻訳されています。
もし、辰巳ヨシヒロが世界中のカジノを舞台にして様々な国の人と人との交流や、その独特な世界観で独自の深みを持ったキャラクターが登場する漫画を描いていて、それを他言語に翻訳・出版していたら、世界的に人気がでていたでしょう。また、カジノはギャンブルだけではなく、観光目的の統合型リゾート地として主催者側は儲かるので、もしかしたらカジノを経営するオーナーを主人公にした作品を描いても面白かったかもしれません。では、もし辰巳ヨシヒロが現代のギャンブルを題材にしていたら・・・
ネットカジノとは、部屋からパソコンやスマートフォンを使って、誰かと実際にカジノに行かなくても、いつでもどこでも本場のリアルなカジノが楽しむことができる現代のギャンブルです。躍動感のある人間模様を描くのを得意とする辰巳ヨシヒロが、もしも現代のオンラインカジノを楽しむ人を描くとしたら、一人で楽しむのでは無く、チームプレイでみんなで力を合わせてお金を稼いでいく物語を書いていたかもしませんね。